杉はスギ科スギ属の日本固有種で一属一種の樹木である。
由来は天に向かって真っ直ぐ伸びる事から “直(スグ)の木” とされている。
神社・仏閣の周りに多く自生する杉は御神木として祀られることも多い。
又、学名《 Criptomeria Japonica 》( クリプトメリア・ジャポニカ )
( CRIPTOS= 隠れた MERIS= 部分 JAPONICA= 日本 ) の語源から つけられており、
“日本人の隠れた部分” と意味付ける事ができる。
-----------------------------------------------------------
2012 年春、作品制作の素材を探す為 山に入った折、
高速道路拡張工事で伐採された大量の杉の山を見ました。
立ち入り禁止の場所でしたが 休日で周りに人は誰もおらず、そこだけが世界から切り離されたように時間が静止したかのようで、
近くにあった切り株に座り杉の残骸を眺めていました。
なぜかその場所から離れられず 3~4時間程経った頃、
杉葉の塊が地面からムクムクと生えてきて、こちらをジッと見ている白昼夢のような幻覚を見ました。
その瞬間、破壊と再生・生と死・始まりと終わり-----
あらゆる対極が分れることなく、同時にそこに“在る”という感覚が訪れました。
対立や分断ではなく、それらが一体として息づいている状態。
植物を扱い、表現する上で私が核としている《生死不二》
“生と死は一つである” という考えと深く共鳴した瞬間でした。そこには「一が全てを含み、全てが一に通じる」という〈一即一切〉の思想のような根源的なつながりの実感がありました。
そこから、杉葉を土台に巻き 起立させた造形物を
『 SUGIZOU - 杉三 』
と名付け、
その立体造形物の裏側に潜む“日本人の隠れている部分” を思索しながら名づけ得ぬ精神の風景を探る試みとして展開しています。
※杉三の三は生命に必要な3つの要素
①自己と外界との隔離
②自己の複製
③自己の活動の維持を満たすもの
を意味する